法事の食事会は位牌も同席。懐かしいあの日のディナーを思い出す!
法事に伴う食事会では、故人の分の食事も用意するケースが多いよう。
故人の写真や位牌を飾り、そこに食事をお供えするというスタイルです。
これは、宗教的に見て当たり前のことなのか、それとも時代の変化に伴って生まれた新しい作法なのか。
法事の食事で位牌の席を用意する意味や注意点をまとめました。
故人のために用意する食事を、専門的には「陰膳(かげぜん)」と言います。
わざわざ言葉があるくらいですから、これはやっぱり宗教的に意味があることなの?
陰膳は、正式には宗教的なものではないそうです。
もともとは、長期の旅行などで遠くにいる家族の無事を願ってその人の分も食事を用意することを意味していた言葉だったよう。(国語辞典にもそのように記載されています。)
「いまはここにいないアノ人が、旅先でも無事にご飯を食べられますように」
そんな想いを込めた風習だったんですね。
それが、故人を偲ぶ食事会にも広がっていったというのがルーツのようで、正式な宗教行為ではないのです。
ただ、今では法事のほとんどの席で、この陰膳が設けられているのだとか。
それだけ、この風習が「当たり前のこと」として広く浸透しているということですよね。
その道の専門家によれば、
「法事の陰膳は、そこに故人がいるかのようにお供えすること」
「一番の上座は故人なので、コースの場合は故人の席(写真や位牌を飾っている場所)から給仕していくこと」
この2点がとても大切なポイントになります。
また、陰膳のお供え方法はちょっと特殊。
- お箸が位牌の最も近くになるように並べる(おかずが手前になるということ)
- ごはんと汁物の並べ方は左右が逆
- 出席者が食べるもの、全てを同じようにお供えすること
これらの基本を押さえておくことが大事です。
ご飯と汁物の位置を逆にする必要があるというのは、「あの世では全てが逆になる」という説に基づくもの。
通常はご飯が左で汁物が右ですが、陰膳は逆になります。
逆に言うと、普通の食事の時にこの配置で出すのは相手に対して失礼にあたりますので注意してくださいね。
こうして法事のルールを確認してみると、普段の生活の中で何気なくやっている食事の作法を再確認することにもつながって勉強になります。
もともと、法事の食事会は故人を偲ぶためのもの。
主役は間違いなく故人ですから、位牌や写真を用意して故人の席を設けるというのは自然なことのように思えます。
ただ、問題はその食事をどうするか?ということですよね。
「あたかもそこにその人が存在するように」というのはわかりますし、実際にその“気配”を感じる方もいるかもしれません。
しかし、実際にはそこにいるわけではないので食事は残ったまま。
それはどうするの?捨てるの?もったいないよね?でも食べるのは縁起が悪いの?
・・・その疑問に対する答えは「食べる」が正解。
「全ての物には命がある。食事はその“命”をいただくこと。だから、食べ物を無駄にしてはいけない」
これが仏教の基本的な考え方ですから、みんなで食べることもまた供養につながるのです。
法事に伴う食事会に故人の位牌を同席させることの意味、故人の分の食事を用意する際のマナーについて見てきました。
ポイントをまとめましょう。
- 故人のための食事は「陰膳」と呼ばれている
- 陰膳のお供え方法にはルールがある(お椀の並べ方など)
- 最後はみんなで分け合って食べるのもまた供養の一つ
何かと忙しい日常生活の中では、食卓に位牌を置いて自分たちと同じ食事を用意するというのは時間的になかなか難しいかもしれません。
だからこそ、法事の席くらいは久しぶりに故人と一緒に食事を楽しみましょう。
メニューに故人が好きだった食べ物を反映させるというのも“愛”を感じますね。
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