線香はなぜ供えるの?深い意味がある煙の意味
線香が仏事に欠かせないのは、昔から伝わる意味があるから。
浄土への案内とか様々な意味が伝わっているのです。
このような線香はもはや日本の伝統の一つ、大切に次世代へと伝えたいものですね。
仏教が伝来したのは西暦538年。
百済の聖明王が伝えたなんて、学校で習った記憶がありますね。
仏像や経典と共に、仏事に欠かせないものとして献上されたのが香。
空間を清浄にする、神秘性を演出する。
そんな目的で使用された香は、仏教に限らず、宮中や貴人の部屋、着物の香り付けに用いられるようになりました。
後に香をかぎ分けるという、香道なる遊びに発展するほど一般的な存在となった香。
これに利便性を与えたのが、中国の明から伝えられた線香。
鎌倉後期のことといわれています。
一般に線香が広まり、仏事に盛んに用いられるようになると、線香の煙には意味があるといわれるようになります。
故人の魂を極楽浄土へ導くため、通夜には、故人の枕元に1本だけ線香を立てるべし。
地方や宗派によっては、こんな慣わしがあるのですが、これは線香の煙が道案内の意味があると考えられていたためです。
また、故人との意思疎通をおこなうために線香をたく。
こんな意味を持たせることもあるようです。
ですから、仏壇や墓に線香を供えるのですね。
また、故人の魂が極楽浄土へ導かれるには49日間かかるというのですが、その間に故人が食べるものが線香の煙である。
こんな意味があると考える場合もあります。
これは、ある経典の「善行を積んだ故人は、良い香りを口にする」という一説を解釈したもの。
ですから、49日の間は線香を絶やさないという風習が残っている地域もあるのです。
線香が使われるようになったのは、もっと現実的な意味があったという説もあります。
現在、人が亡くなると腐敗や腐臭を防ぐために、手早くドライアイスなどを用いて処置します。
しかし、そんな物がなかった時代、腐敗や腐臭を防ぐためにも線香をたいたというのです。
また、古代のインドで釈尊が教えを各地で説いていたといわれるのですが、そんな場は農作業も終わった夜でした。
立派な建物もない、普通の農村で布教を行っていたのですから、狭い空間にひしめくように人が集まっていたのでしょう。
衛生事情も良くない時代ですから、結構な体臭がしたはずです。
加えて電気などもありませんから、その場を明るくする照明も必要だったでしょう。
そこで、人々は香とろうそくを手に集まるようになったとか。
それが、転じて仏教の行事には線香やろうそくが欠かせなくなったともいうのです。
このように、様々な意味があるといわれる線香。
現代でもやはり、仏事には欠かせないものです。
一つの伝統と考えて、大切に伝えていきたいものですね。
線香を供える本数は、宗派や地方で大きく異なります
宗派ごとに仏事に供える線香の本数は、ある程度は決まっているものですが、絶対にこの本数でないといけないというものではありません。
線香の供え方は年長者に従う、その程度の柔軟さは必要になってきます。
故人を極楽浄土を導くもの。
線香の煙にそのような意味を持たせて、通夜の間に立てる線香、その本数は1本だけ。
それも枕元に立てるもの、そんな慣わしがあるといいます。
その一方で、通夜には線香を絶やしてはならないが本数にはこだわらない。
または、絶やさないことが大切だからと、蚊取り線香のような渦巻状の長い線香を用いる宗派もあるのです。
このように、宗派によって地域によって、仏事に用いる線香の本数は様々。
以下には宗派によって用いる線香の本数をあげておきます。
ただ、同じ宗派でも地域で大きく異なることもありますから、絶対ではありません。
一応の参考としてください。
平安時代に伝わり、今も古くから伝わる様式を伝える真言宗や天台宗。
これらの宗派で用いる線香の本数は3本。
香炉の中で正三角形を形作るように立てて1つの角を自分側に、残りの角を仏壇側に向けます。
時代が下って、鎌倉時代に広まった禅宗。
代表的な宗派である臨済宗と曹洞宗になると、選考の本数は1本だけ。
香炉の中央に立てます。
これと、同じような線香の供え方をするのが、日蓮宗。
こちらの宗派も線香の本数は1本だけとなっているのです。
同じく鎌倉時代に起こった宗派である浄土宗。
こちらの線香の本数は1~2本、香炉の中央に立てるところまでは同じです。
これが、浄土真宗になるといささか変わってきて、用いる線香の本数は1~2本なのですが、立てることはしません。
2つに折って香炉に寝かせて使います。
しかし、地方性が豊かな上に、さらに細分化されているのが浄土真宗の特徴。
線香の本数も3本程度、3等分にして、香炉に「Z」を描くように並べて、順に火がつくようにしたりもするのです。
さて、宗派によって仏壇に供える線香の本数は様々なのですが、もっと異なってくるのがお墓に供える線香の本数。
これは地方色が色濃く出るようで、お墓用の線香立てにも様々なものがあります。
例えば、1束丸まる立てることができるようなもの。
1束を数本ずつ分けて立てることができるように、蜂の巣状に穴が開いているもの。
2、3本の本数の線香を立てるのが適当な太さの線香立て。
これは、宗派によるというよりも色濃いのが地方色。
その地方で売られている線香立ての形状によるようです。
さて、仏壇にしてもお墓にしても、宗派や地方よりも優先すべきは、その家々のやり方。
年長者がおこなう様子を真似るというのが一番問題を生まないもの。
- ○○宗だからこの方法、
とか
- 家がこれだったからこの本数
といったやりかたでは、不要な摩擦の原因とないます。
郷に入りては郷に従え。
なかなかウンチクがある言葉ですね。
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